公平・公正な市政をめざして、市民の声と力で政治倫理条例の実現を
八王子市政治倫理条例の制定をめざす議員の会
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本会議での「八王子市政治倫理条例」提案説明(全文)

 自治体は、人を雇っている人数や、契約で発注する金額にしても、一つの経済主体として地域経済において大きなウエイトを占めております。たくさんの人を雇い、たくさんの契約をし、たくさんのお金を使って仕事をしている組織が自治体です。

 この自治体のいろいろな権限を動かすのに、力が強いのはやはり市町村長や知事という、行政機関の長であります。行政運営の細かい手続的なルールというのは多くの場合、執行機関が裁量で決めていきますが、最後の決裁の権限は法的にいえば全部、長が持っております。議員は、有権者に選ばれた公職としてその言動が、行政に与える影響力は少なくありません。

 だからこそ、行政の長や議員という公職の立場にある人は襟を正さなければいけないし、また地方自治法が定めているように、自分が直接請け負うということがあってはならない、すなわち、自分のために公共の仕事をやるということがあってはならないわけです。地方自治法が決めている、自分で請け負ってはいけないというルールは、必要最低限のナショナルミニマムです。

 法律は、裁判にかかれば政府の強制力をもって執行されるもので、だれがどう考えてもどうしても守らなければいけないという、基本的には最低限のルールです。

 一方、倫理、平たく言えば道徳というのは基本的には内面の問題で、法律があろうとなかろうと、自分の考え方に照らして、これは公正なことか、これはあるべきやり方かどうかということを考えて、みずから襟を正す、みずからそういうことはおかしいと思ったらそれをしないようにすることです。これだけで問題が起こらなければいいのですが、倫理や道徳に任せておくだけでは足りないということが出てまいります。しかし、法律によって一律に全部禁止をするという対応が果たして適切かといわれると、必ずしもそうは言えない中間の領域というものが存在します。

 そこで、自治体立法である条例によって道徳と法律の間を埋めよう、自治体ごとに違う地域の実情に合わせたルールをつくろう、法律が決めているのは、必要最低限のものであり、条例で決めることによって、その地域の地域性に合った政治倫理というものを確立していく仕組みづくりをしていこうというのが政治倫理条例の考え方であります。

 いわゆる家業、家族全体として事業を営んでいる場合に、市長や議員本人が社長や執行役でなくても、ほぼ同様の関係にあるのではないかという場合、法的には許容されているけれども、法律の考え方に則って言うとちょっとやはり倫理的におかしいのではないか、というのが素朴な市民感覚であります。

 条例は、自治体立法ですから、自治体ごとにどういう基準にするかというのはそれぞれが自由に決められますから、私たちも八王子に今何が必要なのか、という角度で条例案を検討してきました。

 きちんと透明性を確保して公職にある市長や議員がどのように活動していて、おかしなことがないのかどうかということが第三者から見ても、市民から見てもチェックできる、目が届くような仕組みをつくり、それによって信頼というものを確保するということが大事だということになったわけです。

 同時に、プロによるチェックをもう一段階充実させるということが不可欠だという視点から、条例の中にも、専門家を含む独自のチェック機関の仕組みも整備しなければなりません。

 市長や議員も地域の中で生活し、活動していますので、自治体との関係で利害関係を持ち得るような組織、団体、企業等々が一切ないということは、考えにくいと思われます。

 そこで、全く持ってはいけないというよりは、どういう利害関係を持った背景の人かということを明らかにした上で、その職務権限とその組織や団体の利益が関わるところで、その権限と関わることからはご遠慮いただくようにし、市長や議員は、透明性がある中で行動し、おかしなことがあったら、だれでも目について指摘ができるという仕組みが必要です。

 以上、政治倫理条例の基本についてご説明してまいりました。

 続きまして、この間の経過についてご説明申し上げます。今年6月の第2回定例会後、10人の議員の連名で「八王子市政治倫理条例の制定をめざす共同アピール」を発表いたしました。その後、このアピールに賛同する議員3名が加わり、「八王子市政治倫理条例の制定をめざす議員の会」が発足しました。

 議員の会は、所属政党・政治団体や会派、イデオロギーや政策的立場の違いを超えて、公職たる市長や議員の行動のあり方を律し、市民に信頼される公平、公正な市政を実現するという理念と政治倫理条例制定の目標で一致して、条例案の検討を進めてきました。

 一部に、今回の提案が市長と親族企業をターゲットにしているという議論がありますが、それは政治倫理条例の必要性を考えるきっかけではありましたが、そのようなことではありません。

 政治倫理条例は、今後の八王子市政が公平、公正で市民に開かれた民主的なものとして市民に信頼されるようにするために、市長や議員という公職のあり方について、将来にわたって有効なルールを定めようとするものです。

 条例案の作成にあたっては、国分寺市政治倫理条例や多摩市議会政治倫理条例など他市の例も参考にしつつ、八王子市政にとって今何が一番大切なことかという点を大事にしました。

 時には深夜に及ぶ議論を重ねてまとめた条例案について、8月13日には、議員各位にも郵送させていただきました。さらに、条例案は、マスコミ各社にもお渡しし、議員の会のホームページで公表しました。

 公表した条例案に対して、市民や弁護士からも貴重な意見が寄せられたのを受け、13名の議員でさらに検討を重ねました。8月28日には、八王子市政治倫理条例の制定をめざす市民集会を開催し、一部修正した条例案を発表しました。集会には、ロビーにまであふれる300人の市民の方々にお集まりいただいて、活発なご発言をいただきました。この場で出されたご意見やご質問、ご要望も慎重に検討し、議会事務局の協力も得て細部にわたって仕上げ、ただ今上程されております、議員提出議案第15号としてまとめたものでございます。

 この条例は、第1条の目的に書いてありますように、市長及び議員という市民から選ばれる公職者がその権限や地位の影響力を不正に行使して自己又は特定の者の利益を図ることのないよう、必要な措置を定め、公平、公正で、市民に開かれた民主的な市政の実現をめざすものです。市長や議員が関与している事業者に関する情報を市民に公開し、地方自治法が定める兼業禁止の規定の趣旨を尊重し、「李下に冠を正さず、瓜田に靴を入れず」という精神に基いて、市民に疑惑の念をもたれないようにするための措置をルール化しようというものです。本条例は、市長や議員がその職責にもとる行為をしないと自らのあかしを立てることによって、有権者市民と公職者との信頼関係を築くものにほかなりません。

 本条例は全部で16条からなっておりますが、主な内容についてご説明します。

 第1条に目的を、第2条に市長及び議員の責務を、第3条に市民及び事業者の責務を規定しています。

 市長と議員が遵守すべき行為規範を定めているのが、第4条の政治倫理基準です。

 第5条に定めているのが、請負契約等に関する遵守事項です。地方自治法の請負禁止規定の趣旨や市長や議員とその親族の関係を規定した諸条項の規定をふまえ、配偶者や2親等以内の親族が経営する事業者は、市との請負契約等を辞退するものとする規定をおきました。国分寺市政治倫理条例や多摩市議会政治倫理条例などは、同様の規定をもって運用されています。

 また、市長や議員が関与している事業者との関係をあらかじめ明らかにし、利害関係人を特定することによって、政治倫理審査会や市民からのチェックを可能にするための兼業・兼職報告書を第6条に定めています。

 政治倫理条例を機能させるための政治倫理審査会について、第7条から第9条及び第11条から第13条に定めています。市長の附属機関という位置づけですが、専門家や市民を交えた構成でチェック機関の役割を果たします。

 さらに、市民が主権者として公職にある者の政治活動に関して点検・チェックするための制度として、市民の調査請求権を第10条に定めています。

 そして、市長や議員が職務関連犯罪で逮捕・起訴され、あるいは1審有罪判決を受けて、なお職にとどまろうとする場合の対応が、問責制度と言われるもので、第14条と第15条に定めております。

 以上、条例の主な規定について、ご説明申し上げました。

 最後に強調させていただきたいのは、政治倫理条例は、正当な政治活動をいささかも規制するものではありません。不正な利権活動を禁じ、防止するための条例であり、広い意味で政治活動に関する情報公開制度とも言えます。

 詳細につきましては、総務企画委員会に付託された後に、改めて提出者よりご説明申し上げることとなると思いますが、なにとぞ議員各位のご賛同をたまわりますよう、お願いを申し上げまして提案説明とさせていただきます。

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