公平・公正な市政をめざして、市民の声と力で政治倫理条例の実現を
八王子市政治倫理条例の制定をめざす議員の会
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総務企画委員会での「八王子市政治倫理条例」提案説明(全文)

 条例の目的は、第1条にあるように「市長と議員という市民から直接選ばれる公職者が、その権限又は地位の影響力を不正に行使して自己又は特定の者の利益を図ることのないよう、必要な措置を定め、公平、公正で、市民に開かれた民主的な市政の実現をめざす」ものです。言い換えれば、「李下に冠を正さず、瓜田に靴を入れず」という精神のもと、市政に参画する者の行動規範を定め、八王子市における公職の在り方のスタンダードを確立し、もって市民に開かれた市政を実現しようとするものです。

 それでは、条例案の中身をご説明させていただきます。委員の皆様には、机上配布いたしました、B4横書きの資料「八王子市政治倫理条例(案)の概要」をご覧頂きたいと存じます。

 さて、ご提案しております全16条の八王子市政治倫理条例案は、6つの骨格からなっております。骨格の第一が「政治倫理基準」、第二が「請負契約等に関する遵守事項」、第三が「兼業兼職報告書と資産公開制度」、第四が「政治倫理審査会」、第五が「市民の調査請求権」、そして最後の六番目が「問責制度」です。

 以下、それぞれ順を追って簡単にご説明申し上げます。

 まず、第一の「政治倫理基準」は、第4条に定めています。これは、市長と議員が遵守すべき行為規範であり、その職責に反する行為を禁じています。ここでは、不正疑惑行為の自粛、地位利用の金品授受の禁止、請負等のあっせん禁止、職員の職務執行への不当介入の禁止、職員の採用等のあっせん禁止、議員による人事権への介入の禁止という6項目を規定しています。

 このなかで、第4条1項3号に規定する「請負等のあっせん禁止」は、汚職事件を引き起こす「口利き」を封じるものです。ここでいう市には、住宅・都市整備公社や学園都市文化ふれあい財団も含まれます。これらは、多額の公金を投入して市の事業を代行してことから「含める」といたしました。

 第二の「請負契約等に関する遵守事項」は政治倫理基準の一つですが、別に第5条に定めています。所謂「請負辞退規定」として本条例の中核をなす部分でもあり、規制対象が市長及び議員以外にも及ぶことから、独立の規定としています。

 ご承知の通り、地方自治法は議員、三役、教育委員などが当該自治体の公共工事を請け負うことを禁じ、違反すれば公職を失う、と定めています。その趣旨は、公職者が業者選定、議会議決、契約締結など請負契約に直接・間接に関与する立場にあることから、議会運営の公正と行政執行の適正を確保するために、自治体と営利的な取引関係に立つことを禁ずるところにあります。

 一方、地方自治法は、配偶者や親族の請負を明文で禁じてはいません。しかしながら、元岡山県知事で自治法のエキスパートとして知られる長野士郎氏は、その著書「逐条地方自治法」の中で、「実際において、議員がそれら配偶者や子弟の請負について実質的な支配力を及ぼし、全く配偶者や子弟の請負は名目のみで、実質はその議員が請け負っているのとなんら異ならないような場合もありうるのであって、このような事態も〔請負の丸投げと〕同じく本条の趣旨から極力避けられねばならないところである。実際の運用において注目されねばならない点である」と指摘しています。

 ここで自治法が「自からが請け負ってはいけない」としているのは、必要最低限のナショナルミニマを定めているに過ぎません。例えば、家業として事業を営んでいる場合に本人が社長や役員でなければ、法的には請負が許されることになりますが、立法趣旨から考えると、本人が実質経営に参加していて形式的には制限を免れるケースなどは、やはり倫理的な観点からおかしいというのが一般の市民感覚です。

 そこで、本条例では、地方自治法の請負禁止規定の趣旨を尊重して、配偶者や2親等以内の親族が経営する事業者は、市との請負契約等を辞退するものとすると定めました。国分寺市政治倫理条例や多摩市議会政治倫理条例などは、同様の規定のもと運用されておりますが、憲法や地方自治法に違反するという問題にはなっておりません。こうしたことを条例で定めることは何ら問題ないと考えています。

 事業者が辞退するのは、請負契約だけでなく、下請工事、業務委託契約、物品納入契約、指定管理者の指定を含みます。もともと地方自治法にいう「請負」とは、民法上の請負すなわち、当事者の一方が仕事の完成を約束し、相手方がその仕事の結果に対し報酬を約束することに限らず、広く業務として継続的になされる経済的・営利的な取引一般を指すと解されています。したがって、物件や労力を供給する物品納入契約、業務委託契約も請負に含み、指定管理者の指定も指定管理者に経済的利益をもたらすものであり、請負契約等に含むとしました。

 第三は「兼業・兼職報告書及び資産公開制度」です。第6条に兼業・兼職報告書を定めています。これは、市長や議員が関与している事業者との関係をあらかじめ明らかにし、利害関係人を特定することによって、政治倫理審査会や市民からのチェックを可能にしようというものです。本条例案で事業者というとき、株式会社だけでなく、個人であるか法人であるかを問わず、収益事業を行なう者すべてを含みます。

 資産公開制度は、市長については現行の資産公開条例に基づくものとし、この条例では特に触れていません。議員については、第11条2項に定めていますが、調査請求の対象となった場合に、資産公開条例の規定を準用して、資料を提出することを定めています。市長と議員の権限の大きさの違い、執行機関の最終責任者として長の性格を考慮しこのような規定の仕方としました。

 骨格の第四は政治倫理審査会です。審査会については、第7条から第9条及び第11条から第13条に定めています。

 審査会は、兼業・兼職報告書を審査し、その結果を公表するとともに、市民から兼業・兼職報告書の疑義や政治倫理基準、請負辞退規定等に反する疑いで調査請求を受けたときは、これを調査し結果を公表します。また、問責制度が政争の具とならないよう、説明会の開催の当否を判断する任にも当たります。審査会は、この条例を運用していく中で重要な役割をもっており、公正で権威のある第三者機関でなくてはなりません。そこで、弁護士、司法書士、税理士、公認会計士等専門的知識を有する者及び地方行政に関し識見を有する者並びに市民によって構成することとしました。なお、法律上の制約から審査会は市長の附属機関として設けることとしました。

 第五の「市民の調査請求権」は、第10条に定めています。これは、市民が主権者として公職にある者の政治活動に関して点検・チェックするための制度です。市民は、政治倫理規準に違反する疑いがあるとき、請負契約等の辞退に違反する疑いがあるとき、兼業・兼職報告書等に疑義があるときには、調査を請求することができます。請求は、市長にかかるものについては市長に、議員にかかるものについては議長に対して行うこととしています。

 調査請求は、調査事由となっている条例違反の疑惑を証する資料を添えて行います。「証する」とは、違反があると疑うに足りる「疎明」をいい、違反を立証する「証明」である必要はありません。「疎明」とは、訴訟手続上、裁判官に一応確からしいという程度の心証を得させるための説明のことです。請求が単なるうわさ話によるものではなく、条例違反の疑いを抱くのはもっともだという場合には、審査会の調査と判断を仰ぐべきと考えています。

 審査会は、適法な調査請求があった場合には、必ず調査・審査を行わなければなりません。また、情報公開条例の開示請求や住民監査請求の規定に準じて、調査請求は市民一人でもでることとしています。

 条例の骨格の最後、六番目は「問責制度」です。第14条及び第15条に規定しています。市長や議員が職務関連犯罪で逮捕・起訴され、あるいは1審有罪判決を受けて、なおその職にとどまろうとする時に、自ら釈明する機会を設け、真相を明らかにすることと合わせ、市民にも説明会の開催請求権を定め、当該市長又は議員の責任を追及できる仕組みです。

 なお、条例施行規則の整備や審査会委員の人選など条例施行のために必要な準備期間を考慮し、施行日は条例公布の日から6ヶ月を超えない範囲内とし、今定例会で可決・成立した場合、来年度4月1日から施行できるように定めております。その他、本条例の適用に当たって必要な経過措置についても附則で定めております。以上が条例の主な規定についてのご説明です。

 さて、今般、条例案を提出いたしました私たち13名は、本年7月に「八王子市政治倫理条例の制定をめざす議員の会」を立ち上げて以来、この問題に取り組んで参りました。議員の会は、政党、党派や政策的立場の違いを超えて、市民に信頼される公平、公正な市政を実現するという理念と政治倫理条例を制定するという一点で一致し活動を続けています。

 企業が自主努力で営業実績を上げることは資本主義の我が国にあって当然ですが、今議論されるべきは「公職の在り方」であると思います。公職に就くにあたっては自ずと制限が生じるのであって、あらかじめその制限を定め、そのことによって市政に信頼性と透明性を担保するのが政治倫理条例です。また、本条例は正当な政治活動をいささかも規制するものではなく、不正な利権活動を禁じ、防止するための仕組みづくりであり、広い意味での政治活動に関する情報公開制度でもあります。

 そして、私たちは、政策課題によって議員同士が連携したこの度の取り組みを地方議会の在り方として1つの理想型と思っています。こうした形で条例案を上程できたことを、八王子市議会史に残る画期的な出来事であると誇らしく感じているところです。

 本日は大勢の傍聴者の皆さんがいらっしゃっていますが、これは本条例に対する市民の皆さんの関心がいかにに高いものであるかの表れであると思います。

 委員諸氏におかれましては、今、八王子市の置かれている現状に鑑み、議員としての誇りと良心に基づき、市民の目線からご賢察をいただき、何卒、本条例案にご賛同賜りますよう、お願い申し上げまして提案説明とさせていただきます。

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